画聖圓山応挙顕彰会は、この度金剛寺「群仙図」に描かれた仙人の伝説をまとめたパンフレットを新たに製作しました。
これにより、仙人たちをパンフレットから簡単に探し出し、その経歴や特徴を知ることで、より身近な存在と感じてもらえると思います。
このパンフレットは、来る11月3日に開催される「応挙展」で初めて配布し、今後拝観の皆様に配布する予定としています。
金剛寺「群仙図」に描かれた仙人の伝説
仙人は、中国の道教 (漢民族の伝統宗教で老子を教祖と仰ぐ) において空想された理想的な想像上の人物(道教の聖職者)である。
超人的な能力と不老不死などの神力を持っていると云われる。
特に代表的な八仙(八人の仙人)は、日本における七福神のように、福をもたらす縁起の良い存在として中国では今も広く親しまれている。
李 鐵拐(り てっかい)《八仙の一人》
足が悪く鉄の杖を持ち破衣をまとう。元は立派な体格の仙人。物乞いの死体に乗り移り蘇生。酒を好むが心は清く、酒を空中に噴霧し自分の心身を写しだして、常に心の清浄を保った。本図は、提げたひょうたんの酒を口に含み、勢いよく空中に噴霧した瞬間である。
蝦蟇仙人(がませんにん)
白いヒキガエルを操り、様々な妖術を使うとされる中国の伝説的な仙人。
歴史上の人物である葛玄がモデルとされる。中国より日本で人気が高く、江戸時代の絵画や装飾品で鐵拐とペアで描かれることが多い。本図は、ガマと向き合い、手を差し延べて踊らせようとしているところ。
何 仙姑(か せんこ)《八仙唯一の女性》
14歳の頃、神人からの勧めで雲母の粉を食べ、身体が軽くなり空を飛べる仙人となった。手に蓮の花を持ち、雲に乗る姿で描かれることが多く、本図も空中に浮き、視線は日食(本尊仏)に向けられている。女性の守護神や道徳の模範として信仰されている。
張果 老(ちょうか ろう)《八仙の一人》
実在したとされる仙人。自称数百歳、そんな年齢には見えないので長生術、不老不死の術を心得ていたと云われる。折りたためる白いロバに乗り旅をしたと伝えられる。本図の左手に、竹の道籖(どうせん)を持ち、これらを使って人々の吉凶を占った。
鐘 離権(しょう りけん)《八仙の一人》
太ったお腹で描かれるのが特徴。戦争に敗れて山中をさ迷っている時、先輩の仙人から仙薬の調法、錬金術、悪鬼退治の「青竜の剣法」など、様々な秘文秘法を授けられた。ひたすら神気の修練に打ち込み、多くの霊験を表した。呂洞賓の師匠。
韓 湘子(かん しょうし)《八仙の一人》
実在の人物、文豪・韓愈の甥。若い頃、酒ばかり飲んで学問をしない放蕩者だったが、突然予言を的中させる不思議な力を得た。笛の名手。本図は、笛を吹き歌いながら街中を歩く場面だが、その歌には仙人の極意がこめられている。横に立つのは仙人を志して修業中の侍童だろう。
呂 洞賓(りょ どうひん)《八仙の一人》
黄陽布という頭巾を被り、剣を背負う。鐘離権から役人生活をするよりも永世の道を求めるべきだと教えられ心が動いた。彼から悪鬼を退ける秘法「天遁の剣法」、不老長生の薬の作り方「龍虎金丹の秘文」の伝授を受けた。実在の人物が神格化された。
東方 朔(とうぼう さく)
寺子屋の師匠をし、洒落がうまく道化役的な弁舌に長じていた。漢の武帝に召され、侍従として仕えた。「西王母」(女仙人の長)から掠め取った不老長寿の桃の実を食べた。実在の人物が仙人化された。本図の東方朔は、應舉が自分自身の自画像を描いているのではないかと云われている。
禝 丘君(しょく きゅうくん)
泰山の麓に住み若返りと長寿の術を持っていた。武帝巡幸の時、黄衣を着て愛琴を抱いて奉迎。武帝の泰山での足の指の負傷を予言した時も琴を抱えた姿で現れ、彼の象徴的なスタイルとなっている。琴は、単なる楽器ではなく「神を呼び、自然の調和や宇宙の真理と繋がる霊的道具」であった。
*この人物は、竹林の七賢の代表格嵆康(けいこう)とする学説も有ります。
黄 初平(こう しょへい)
牧羊をしている間に仙人から教えを受けた。40年余りの修業で、岩を羊に、羊を岩に変える術を会得。兄と共に松脂・茯苓を服用しながら修業を重ね、500歳にして「座れば姿が見え、立てば見えなくなる」術も会得した。本図は、羊から岩に変化させる瞬間を描いている。
(白紙襖)
多くの仙人達の目線はこの白紙の襖に向けられている。
襖の裏側の仏間には本尊仏が安置され、仙人達と本尊が向き合い見つめ合う位置関係となっている。そのことを明確にするため、ワザと何も描かず白紙にしていると考えられる。
老子(ろうし)
道教の教祖。72年間母の胎内にいて白髪で出生。
後年、青牛に乗って中国(周)を去り国境を越えてインドに入った。そばの男は関守の「関令」だろう。本図の老子は、白目のように見えるが、金剛寺が寺小屋時代、子供が悪戯し線香で目玉を焼いたからと云えられる。本図は襖絵ではなく壁貼付。













