・山水図 Landscapes

本堂上間の床間と襖には「山水図」(国指定重要文化財13幅)が描かれていました。応挙は、若年時代に覗機械(のぞきからくり)に用いられた「眼鏡絵」を描いていますが、そこで会得した透視遠近法は、後年の応挙の作品に大きな影響を与えました。

当寺の「山水図」にも近景から中景、さらに遠景へと拡がる構図の中に、透視遠近法を吸収した跡をうかがうことができます。また、余白をたくみに利用し、画面の空間性をみごとに生かしています。

作品には「天明戊申暮夏写 平安源應擧」の落款と「應擧之印」が押されています。

当時の水墨画の山水図は、中国の険しい山や渓谷を描いた作品が一般的ですが、本図は日本の峠越えの街道の茶店(落款の有る下図)から見た360度の景色が描かれています。

裏山の滝から涼しげな水音が聞こえ、山道の上方へ去る人、下方から茶店を目指す人、遠くの海には船も浮かんで、茶店に到着した旅人が景色を楽しんでいる姿も描かれています。

この上間に案内された客人には、景色を見ながらゆっくりとくつろいで欲しいと願う応挙の心とチャレンジが感じとれます。

タイトルとURLをコピーしました