波濤図

本堂前面の三室に描かれている「波涛図」は、三羽の鶴とわずかな岩石を除き大部分は連綿と続くダイナミックな波のうねり、波が重なりあい交錯しつつ萬里の大海原を描写しています。

ボリュームのある波の中に吸いこまれるような圧倒的な迫力を表現しており、又飜潮の中の岩石もリアルに描かれ、ゆるぎない安定感を観る人の心に与えます。激動の中の静止とでもいうべきでしょうか。

鶴も荒波を意識することなく、逆らうことなく休息しています。荒波・岩石・白鶴の図は、人生図とも云えるでしょう。

これら「波涛図」は、三室32襖に描かれていましたが、応挙が生涯をとおして同一テーマで描いた作品としては最大のものです。また、三室を分割する襖を外したり開いたたりした場合でも絵がうまく繋がるように、ち密な配慮をしながら描いています。作品には「戊申晩夏写 應擧」の落款と「應擧之印」が押されています。